食後すぐに歯を磨かない~正しい健康法~

食後すぐに歯を磨かない
~漢方食養研究会資料・サンデ-毎日掲載文より~
 近年、歯を磨くタイミングについて議論になっている。口の中の衛生を保つ上で、「食事をした直後」という主張と、歯が傷つきやすい状態のため、「食後、時間を置いてから」という意見がある。
「食と健康」に詳しく、多数のメディアでも活躍する管理栄養士の望月理恵子さんは「現代食は酸性食品が明らかに多いため、食後は歯のエナメル質が溶けやすい状態」と指摘する。
 酸性食品とは、脂肪やたんぱく質が多く含まれるもの。厚生労働省の国民健康・栄養調査によると、肉類の摂取は年々増加している。
 さらに日常的に使う調味料のほか、ビールやワイン、炭酸飲料などの市販飲料の半数以上には、炭酸やクエン酸などさまざまな形で“酸”が含まれる。柑橘系果実や酢を含む健康食品も同様だ。
「砂糖を含む飲料も、歯垢の中に潜む細菌が糖を養分にして、強い酸を出すので注意が必要」(望月さん)
 濃度の濃い酸が歯に触れると、骨より硬いといわれる歯のエナメル質が軟らかくなる(脱灰)。時間がたつと唾液が酸を中和し、口腔内が自然なバランスを取り戻すとエナメル質は再び硬化していく(再石灰化)。
「口の中が酸性状態で脱灰に傾いている時は、エナメル質は傷つきやすく、強く歯磨きをすることで歯が薄くなってしまいます。食事の後は口をゆすぐ。そして30分ほど経過すれば再石灰化が進むと考えられるので、そのタイミングで歯を磨きましょう」(同)
 口腔内は脱灰と再石灰化がシーソーのように繰り返されているが、酸に触れる濃度と回数が多ければ、確実に歯の寿命は短くなる。食品の選択と歯磨きの行い方で、歯の健康を損なわないように気をつけたい。