咀しゃくを入念に~健康をつくる12項~

◎健康をつくる12項
~漢方食養研究会資料より~
咀しゃくを入念に
 食物は満腹になるまで食べたからといって、必ずしも充分の栄養が摂れるものでもないし、量が少ないからといって、必ずしも栄養が不足するわけのものでもありません。重要な事として咀しゃくがあります。
 物をよく噛まなければいけないことは誰でも知っているのですが、これを実行している人は極めて少ないようです。気の短い人は、お茶漬けでガサガサとかきこんでしまっています。これではどんな滋養分を摂っても半分も活かされないことになります。
 咀しゃくを始めると、唾液腺から唾液が出てきて、食物を口中でよくまぶしてくれます。それによって食物もおいしい味が出てくるし、唾液そのものが消化液であるから、沢山まぶされればまぶされるほど、胃の消化力が助けられ、ひいてはよく消化されるわけです。
 それから、この唾液の中には、パロチンと呼ばれるホルモンも含まれていて、その働きは、糖・蛋白代謝に関係し、血液・リンパ様組織・生殖器系統にも作用を示します。簡単に言えば、唾液をたくさん出せば出すほど、いつまでも若さが保てるということになるのです。
 ところで、歯という字をよくご覧下さい。「口の中に米(食物)を止める」という意の漢字なのです。つまり、食物は歯でよく噛んで、唾液を充分に出していくことが、健康につながっていくのです。